・舟越桂について
舟越桂は彫刻家の父を持ち、クリスチャンで育ったことから西洋美術を見て育っています。父親の影響を大きく受けながら、日本人でありながら日本の作品よりも西洋の作品に先に触れる変わった生い立ちを過ごされています。
・時代と共に変わりゆく舟越桂の作品
1980年代~1990年代初めの作品は、肖像性の高い胸像の作品が代表とされていました。大理石の玉眼を使った頭部が肖像性を感じさせており、両眼が少し遠くを見つめているように作られているため、作品に見つめられていると感じることはありません。
1990年代はじめ~2000年代始めの作品になると、頭部と胴体の前後が逆になったり、手がありえない位置についていたりと、普通の人間の形をしていない作品を手掛けるようになります。肖像的なものから、人間というものを考えさせられるような作品です。
2000年代はじめ~の作品では、人間と動物を融合させたような作品が始まっていきます。2005年からはスフィンクスシリーズがはじまり、人間が他のものとくっついていたりする作品中心の制作です。
人間という存在は何かという問いかけをされているようで、2003年からは裸体の作品が中心になっていきます。年数を重ねていくにつれて、より人間の本質に迫っているようにも感じられます。
あたりまえの形だけが人間ではないと問いかけているのでしょうか。彫刻で人の作品を作っていくにつれて、舟越桂なりに人間がどういうものかと向き合っているのでしょう。それと同時に、自身がどれだけの表現ができるかの挑戦でもあります。