美術家

香月泰男のシベリア作品!シベリア抑留を生き抜いたからこそ描ける作品群

・シベリアを描き続けた画家

香月泰男はシベリア抑留から生き残った画家として、有名になりました。自らが体験した太平洋戦争とシベリア抑留をテーマとして油彩画で描かれた「シベリア・シリーズ」で地位を築かれた人です。

香月泰男は、シベリア帰還後「雨」「埋葬」の2作を描き、積極的にシベリアについての体験を残そうとしていました。

しかし、その後一変してシベリアとはかけ離れた作品を描くようになりました。画面が明るく、植物や動物、自分のアトリエの様子など身近なものを描いていました。

台所のテーブルや椅子に置かれた食材を描くことが多く、50年代は厨房の画家として名を上げていました。帰還してすぐのシベリアの作品とは違った印象になっており、結婚をして、子供にも恵まれて日常に戻ってきたことからシベリア生活を忘れようとしていたのでしょう。

しかし、50年代後半になると除々に明るい色が消えていき、画面の暗い絵を描くようになっていきました。

その後、香月の作品の特徴である、黒と黄土色を基調としたシベリア様式が確立されました。

香月自身厨房の画家として描いていた頃は、シベリア生活を忘れるために明るくしなければならないという意識が強く残っていました。無理をしていた時期でもあります。

香月がシベリア作品を描き続けていたのは、体験したことを世に伝えたかったというよりも、自分が経験したことを描かずにはいられなかったといった方が正しいでしょう。だからこそ、魂のこもった、作者の思いが感じられる作品となったのです。

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